
血液透析は、腎機能低下に対する生命維持治療として欠かせない一方、長期治療に伴い多彩な合併症のリスクをはらんでいます。
本記事は、不均衡症候群や高血圧、低血圧、貧血、感染症など、血液透析治療中に起こり得る各種合併症について、原因や症状、具体的な予防・対策方法を体系的に解説します。
医療現場での実践例を踏まえ、早期発見と適切な管理の重要性を深掘りし、安全な治療環境の実現に向けた情報を提供する内容です。
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血液透析は腎機能が著しく低下した際に欠かせない治療法ですが、長く続けるうちにさまざまな合併症が生じる場合があります。合併症の特徴や発生のメカニズムを理解し、早期発見・早期対処を心がけることが重要です。以下では代表的な合併症と、その原因・症状・対策を紹介します。

血液透析導入初期に起こりやすく、透析中から透析終了後12時間以内に発症するのが特徴です。
主に腹痛や吐き気、嘔吐などがみられます。
これは、血液中の老廃物が急激に除去される一方で、脳内の老廃物がすぐには排出されないことにより濃度差が生じ、脳がむくむことで起こるとされています。
下表は不均衡症候群の主な特徴と対策のまとめです。
| 原因の概要 | 主な症状 | 対策・予防 |
|---|---|---|
| ・透析導入期に体内の濃度バランスが崩れやすい ・脳内の老廃物排出が血液より遅れる | ・腹痛、吐き気、嘔吐 ・頭痛、めまいなど | ・緩やかな透析を行う(時間を長くするなど) ・水分・塩分・タンパク質を適切に制限する |
体が透析に慣れるにつれて発症率は低下しますが、急激な除水や老廃物の除去を避けるため、担当医と相談しながら透析条件を調整してみましょう。
血液透析を始めたばかりの頃は高血圧がみられることが多いといわれています。
頭痛や吐き気、不眠などの症状が出る場合があり、水分・塩分の過剰摂取による体液量の増加が原因の一つです。
高血圧が続くと動脈硬化や心臓病、脳卒中、視力障害などリスクが高まります。
下表は高血圧の主な原因と注意点を整理したものです。
| 原因の概要 | 症状 | 対策・予防 |
|---|---|---|
| ・水分・塩分の摂りすぎ ・透析による除水や塩分排出が不十分 ・体液量が増加 | ・頭痛、吐き気 ・イライラ、不眠など | ・食事での塩分・水分管理 ・透析での除水設定を最適化 ・定期的な血圧管理を徹底 |
血圧の上昇が見られた場合は、体重増加や食事の内容、透析条件を見直すとともに、必要に応じて医療スタッフと相談してみることが望ましいです。
最も発生頻度が高いとされる合併症で、高齢、糖尿病、低栄養、貧血、心機能障害などがある場合に起こりやすいといわれています。
吐き気、嘔吐、頭痛、動悸、冷や汗などが代表的な自覚症状です。
長期間の透析で循環血液量や血管収縮能が低下し、低血圧が慢性化するケースもあります。
日常生活に支障をきたすほど血圧が下がる場合は以下のような対策が考えられます。
| 原因の概要 | 症状 | 対策・予防 |
|---|---|---|
| ・除水量の多さによる循環血液量の減少 ・血管収縮能低下 ・心機能障害や貧血、栄養状態の低下など | ・あくび、吐き気、嘔吐 ・頭痛、動悸、冷や汗 ・めまい、倦怠感 | ・除水量を適切に調整(ドライウェイトの見直し) ・食事・栄養バランスの改善 ・必要に応じて低血圧治療薬を使用 |
無症状でも低血圧が進行している場合があります。定期的な血圧チェックや血液データの確認が欠かせません。
腎臓で生成される造血ホルモン(エリスロポエチン)の分泌低下によって起こる典型的な症状です。
また、尿毒素の増加や赤血球寿命の短縮も貧血の一因となります。階段の上り下りでの息切れや動悸、疲労感などの症状が代表的です。
| 原因の概要 | 症状 | 対策・予防 |
|---|---|---|
| ・エリスロポエチン分泌低下 ・赤血球寿命の短縮 ・尿毒素増加による出血傾向 | ・疲れやすくなる ・手足のだるさ ・息切れ、動悸 | ・エリスロポエチンや鉄剤の投与 ・十分な透析 ・栄養管理と適度な運動 |
定期的な血液検査でヘモグロビン値を確認し、不足が認められる場合には早めに対処することが求められます。
穿刺部からの細菌侵入によるシャント感染、尿路感染、風邪がこじれた肺炎、結核、輸血に伴うウイルス性肝炎など、さまざまな感染症リスクが高まるとされています。
これは透析による免疫力低下が一因と考えられています。
| 原因の概要 | 主な感染症 | 対策・予防 |
|---|---|---|
| ・免疫力の低下 ・穿刺部からの細菌侵入 ・風邪などの感染症の悪化 | ・シャント感染 ・尿路感染 ・肺炎、結核 ・ウイルス性肝炎など | ・シャント部の衛生管理を徹底 ・十分な栄養摂取 ・定期的な健康チェックとワクチン接種の検討 |
感染症は重症化を招く場合もあるため、早めに医療機関を受診し適切な治療を受けることが大切です。
腎不全になるとリンの排泄が滞り、高リン血症を引き起こします。
その結果、血中のカルシウムが低下し、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が過剰になる状態です。
長く続くと骨がもろくなり、骨折のリスクを高める原因にもなります。
| 原因の概要 | 症状・影響 | 対策・予防 |
|---|---|---|
| ・リン排泄障害による高リン血症 ・血中カルシウム濃度の低下 | ・骨がもろくなる ・骨折リスクの上昇 | ・十分な透析によるリンの除去 ・リンが多いタンパク質の摂取量調整 ・骨代謝改善薬(活性型ビタミンDなど)の使用 |
1日のタンパク質摂取量は標準体重1kgあたり1.0~1.2gを目安とするのが一般的とされています。
リン吸着薬の活用や食事指導も有効です。
長期透析を行うことで、アミロイドという物質が骨や関節に沈着し、痛みやしびれ、関節の変形などが生じます。
手術で症状の緩和が可能なことがありますが、進行を防ぐためには十分な透析量の確保や関節の可動域を保つ運動が推奨されています。
| 原因の概要 | 症状 | 対策・予防 |
|---|---|---|
| ・長期透析によるアミロイド沈着 | ・骨・関節痛、肩や首の痛み ・しびれや麻痺 | ・適切な透析時間・頻度の確保 ・手首や指の屈伸運動などで関節を動かす |
症状が進行すると日常生活に支障をきたすため、痛みや違和感がある場合には早めに専門家へ相談することが勧められます。
カリウムは主に果物や生野菜、肉や魚の生ものなどに多く含まれ、透析患者の場合、摂取量が過剰になると血中カリウム値が上昇しやすくなります。
手足のしびれや脱力感などの初期症状のほか、重症化すると致死的不整脈を引き起こす危険もあるため注意が必要です。
| 原因の概要 | 症状 | 対策・予防 |
|---|---|---|
| ・カリウム摂取過多 ・便秘や下痢による電解質バランスの乱れ ・不十分な透析など | ・しびれ、脱力感 ・知覚異常、味覚異常 ・不整脈(重症化の場合) | ・カリウム含有量の多い食品の摂取調整 ・調理の過程でゆでこぼすなどの工夫 ・透析条件の見直し ・カリウム吸着薬の使用(必要に応じて) |
特に果物や生野菜の食べすぎには気をつける必要があります。火を通したり、水にさらしたりしてカリウム量を減らす調理法が効果的です。

血液透析における合併症を予防するためには、定期的な医療機関でのチェックだけでなく、日常生活の管理も重要です。下表に主なポイントをまとめました。
| 項目 | 具体的な管理・チェック内容 |
|---|---|
| 食事管理 | ・塩分・水分・タンパク質・カリウム・リンなどを適切にコントロール ・食品成分表を参考にした献立作り |
| 運動 | ・無理のない範囲での有酸素運動や筋力トレーニング ・関節の可動域を広げるストレッチ |
| 体重・血圧の管理 | ・毎日の体重測定で急激な増減をチェック ・家庭用血圧計などでこまめに血圧を測定 |
| 透析スケジュール | ・透析時間や頻度を守り、除水量や透析効率を最適化 |
| 感染予防 | ・シャント部を常に清潔に保つ ・風邪やインフルエンザの流行時期はマスク装着や手洗い、うがいを徹底 |
| 定期検査 | ・血液検査やレントゲン検査、心エコーなどの各種検査で合併症の早期発見を目指す |
| 服薬管理 | ・処方薬の飲み忘れや過剰服用に気をつける ・サプリメントや市販薬の併用は必ず医療スタッフへ確認 |
上記を継続的に実践することで、多くの合併症リスクを軽減できるとされています。また、疑わしい症状があれば早めに医療機関へ相談してみるのが望ましいです。
血液透析は生命維持にとって極めて重要な治療法ですが、同時に合併症のリスクが存在します。
不均衡症候群や高血圧・低血圧、貧血、感染症、高リン血症からくる骨への影響など、透析特有の合併症について正しく理解し、日頃から適切な予防や対策を行うことが大切です。
定期的な検査や透析条件の見直し、食事や運動などの生活習慣管理を徹底することで、合併症の発生頻度を下げ、日常生活の質を維持しやすくなります。
気になる症状や不安な点がある場合は、早めに専門家へ相談してみましょう。