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腹膜透析について

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腹膜透析の種類と特徴

腹膜透析にはCAPD(連続携行式腹膜透析)APD(自動腹膜透析)の2種類があります。それぞれ透析液交換の方法や時間帯が異なり、患者さんの生活スタイルや体の状態に合わせて選択されます )(途中でCAPDからAPDへ、あるいはその逆へ切り替えることも可能です。

CAPD(連続携行式腹膜透析)とは

CAPD(Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis:連続携行式腹膜透析)は、透析液の交換(バッグ交換)を1日に複数回手動で行う方法です 通常は1日4回前後(患者さんによって3~5回程度)の交換を行い、朝・昼・夕方・就寝前といった生活リズムに合わせて透析液を入れ替えます 交換作業は基本的に患者さん本人または家族が行い、1回の交換に20~30分ほど要します。

専用の透析液バッグとチューブを用いて排液(古い透析液を排出)と注液(新しい透析液を注入)をセットで行う「ツインバッグ方式」が普及しており、衛生的かつ簡便に操作できるよう工夫されています。交換と交換の間は腹腔内に透析液が留まった状態(腹腔内貯留)が続き、この持続的な浄化作用により腎臓に近い緩やかな透析効果が得られます 。

 

APD(自動腹膜透析)とは

APD(Automated Peritoneal Dialysis:自動腹膜透析)は、夜間の就寝中に機械(自動腹膜透析装置、サイクラー)を用いて透析液の出し入れを自動的に行う方法です 患者さんは専用の装置に就寝前に接続し、一晩かけて数回の腹腔内透析液の交換を機械任せで行います。典型的には1夜で8~10時間程度装置を稼働させ、その間に例えば2~3リットルの透析液を数回入れ替える処方が組まれます。朝起床時に装置から離れ、日中は基本的に追加の交換なしで過ごす(腹腔内を空にしておくNIPDもしくは最後の新しい透析液を入れたまま日中を過ごすCCPD)というスタイルです 患者さんの腎機能や透析効率に応じて、APDに加えて日中に1回手動交換を追加したり、日中腹腔内に透析液を貯留しておく処方が取られることもあります

 

関連記事:腹膜透析の仕組みと種類|治療法・メリット・デメリット

 

腹膜透析が適応される患者の条件

腹膜透析はすべての末期腎不全患者さんに一律に実施できるわけではなく、患者さん個々の状況に応じて適応となる条件があります。一般的に以下のようなケースでは腹膜透析が良い選択肢となりえます )。

腎不全末期だが尿量がまだ十分出ている方

残存する腎機能を活かしつつ透析を併用できるため、腹膜透析によって腎臓の残りの働きを長く保ちやすくなります )。尿が出ている間は水分やカリウムの摂取制限もほとんど不要で生活の質が維持しやすいです )。

将来的に腎移植の予定がある比較的若い方

5年以内に移植を見据えている場合、移植までのつなぎの透析として腹膜透析が適しています 。腹膜透析は血液透析に比べ体への負担が少ないため、移植前に心臓や血管へのダメージを最小限に抑える狙いがあります。

仕事や家庭の事情で週3回の通院透析が困難な方

フルタイムで働いている方や育児・介護などで定期的な通院が難しい方は、自宅でできる腹膜透析が社会生活との両立に有利です )。実際、夜間のAPDを利用することでフルタイム勤務を続けた例も報告されています 。

シャントが作れない・心臓への負担から血液透析が難しい方

末期腎不全の中には血管が脆弱で血液透析用のシャント(血管アクセス)が確保困難な方や、重い心不全を合併していて血液透析による急激な体液変動に耐えられない方がいます。そのような場合にも腹膜透析は緩徐で心臓に優しい透析として適しています ) )。

以上のようなケースでは腹膜透析が強く検討されます。一方で、腹膜透析が不適当(禁忌)となる場合もあります。例えば、過去の大きな腹部手術などで腹腔内に高度な癒着があり腹膜が透析膜として機能しにくい場合や、腹膜炎を繰り返して腹膜機能が著しく低下している場合、腸に人工肛門が造設されている場合、修復困難な腹壁ヘルニアがある場合などは腹膜透析の実施が難しいと判断されることがあります。また、重度の肥満で腹腔内に十分な透析液を入れられない場合や、極端に体が小さい乳幼児で腹膜透析設備が整わない場合も制約となりえます。このほか患者さん自身が全く自己管理できず支援も得られない環境では、感染対策や適切な手技の維持が困難なため腹膜透析は適しません )。逆に言えば、これら禁忌に当てはまらない患者さんであれば基本的に腹膜透析は選択可能であり、年齢にかかわらず高齢者でもサポート体制を整えることで導入されるケースが増えています。

腹膜透析が適応となるかどうか

は、患者さん個々の体の状態(腹膜機能や他の病気の有無)生活環境(在宅でのサポート体制や衛生環境)、そして本人の希望などを総合的に考慮して判断されます。腎不全と診断され透析療法の選択肢を検討する段階になったら、主治医と十分に相談して自分に腹膜透析が向いているかどうか確認してみるとよいでしょう。

腹膜透析のメリット・デメリット

腹膜透析療法にはさまざまな利点と欠点があります。他の透析法(血液透析)と比較した腹膜透析の主なメリット・デメリットを以下の表にまとめます。

 

メリット(利点)

デメリット(欠点)

体への負担が少なく、腎臓の働きに近い安定した透析が可能(心臓や血管への急激な負担が小さい) ) )毎日自己管理で透析液交換を行う必要があり、手技の習得や衛生管理など患者自身・家族の負担が大きい
通院は月1~2回程度と少なく、自宅で治療できるため生活リズムに合わせやすい )カテーテルや接続部の操作を繰り返すため、腹膜炎やカテーテル出口部感染など感染症のリスクがある )
日中の時間を有効に使いやすく、社会復帰や仕事・学校との両立がしやすい )透析を休む日がなく毎日継続する必要がある(旅行時も透析機材や透析液の準備が必要)
腹膜透析導入後も残存腎機能を保ちやすく、尿が出ている間は水分・カリウムの制限が比較的緩やかで済む ) )長期間続けると徐々に腹膜の機能が低下し、5~10年程度で腹膜透析単独では不十分になることが多い )(最終的に血液透析や腎移植への移行が必要)
血液透析のように血管アクセス(シャント)を作成しなくてよい(針を刺す処置が反復しない)透析液中のブドウ糖を吸収するため体重増加や高血糖のリスクがある(栄養管理が必要)
在宅で行うため自分のペースで治療でき、患者さんのQOL(生活の質)向上につながりやすい治療開始前に腹腔内にカテーテルを留置する外科手術が必要 )(術後に痛みを感じることがある)

 

※補足: 腹膜透析のデメリット面として挙げた問題点の多くは、医療スタッフの指導のもとで適切に対策・管理することでリスクを低く抑えることが可能です。例えば感染症対策では手技の徹底や予防的抗菌剤の使用、体重増加への対策では食事療法の工夫や透析液濃度の調整などが行われています。また長期間の腹膜透析継続についても、早めに腹膜機能を評価し必要に応じて腹膜透析と血液透析の併用(週1回の血液透析追加など)を取り入れることで、安全にPD療法を延長できる場合があります。各メリット・デメリットを理解した上で、自身にとって何が重要か優先順位を考えることが大切です。

腹膜透析と血液透析の違い

腹膜透析(PD)と血液透析(HD)は、腎不全患者さんのための二大透析療法ですが、その仕組みや患者さんの生活への影響にさまざまな違いがあります。以下に主な相違点をまとめます。

治療方法と場所の違い

腹膜透析は自宅で患者さん自身が行う在宅療法であり、腹部に留置したカテーテルを通じて腹腔内に透析液を出し入れします。一方、血液透析は医療施設(透析クリニックや病院)で医療スタッフによって行われ、シャント(血管アクセス)から体外に血液を取り出して人工透析器で浄化し体内に戻します )。PDは在宅療法、HDは通院療法という点がまず異なります。

治療スケジュールの違い

腹膜透析は基本的に毎日連続的に行う透析です。CAPDであれば1日数回、APDであれば夜間毎日透析を行います。それに対して血液透析は通常週3回(隔日)、1回4時間程度かけて行います )。したがってPDでは日々のルーティンワークになりますが、HDでは週に3日通院し残りの日は透析がないという周期になります。

体への負担・体調変動の違い

腹膜透析は常にゆるやかに老廃物除去と余分な水分の排出が行われるため、心臓や血管への負担が少なく体調が安定しやすい傾向があります )。血液透析は短時間でまとめて血液を浄化するため、治療中に血圧が低下したり(除水による急激な体液変化)、透析のない日に老廃物や水分が体に蓄積してむくみ・倦怠感が出たりと体調の波が大きくなりやすいです。特に心機能の低下した患者さんではPDのほうが循環動態の安定に有利とされています )。

生活への影響の違い

腹膜透析は在宅で行う分、日常生活に組み込みやすい反面、毎日の自己管理が必要です。旅行や外出も可能ですが、透析液や器材を持参するか事前に手配する必要があります(※PD用の透析液は旅行先の宿泊施設へ配送してもらうことも可能です ))。血液透析は決まった曜日に施設へ通院する必要がありますが、その代わり非透析日の制約は特になく旅行なども透析日以外に計画すれば比較的自由にできます。ただし長期旅行の場合は旅先の透析施設を予約する必要があります。社会復帰という観点では、PDは夜間透析や時刻調整が可能な分、仕事との両立が図りやすいですが )、HDも勤務時間に合わせて夜間透析や短時間透析などの選択肢が用意されている場合があります。患者さん個々の生活パターンに応じて適した療法が異なってきます。

食事・水分制限の違い

腹膜透析では残存腎機能が保たれやすく透析が連日行われるため、食事や飲水の制限が比較的緩やかです )。特に尿量があるうちは水分摂取制限を厳密にしなくてよいケースが多く、カリウムやリンの値も毎日除去されるため急激に上がりにくい傾向があります。その反面、タンパク質が透析液中に漏出しやすいことからPD患者さんは高タンパク食が推奨され、十分なエネルギー摂取も必要です(透析液からブドウ糖を吸収するため太りやすく、糖尿病の方では食事療法に工夫が求められます)。血液透析では水分やカリウムの制限が厳格になります。透析と透析の間の2日~3日で体重増加は概ねドライウェイト(適正体重)の+5%以内に抑えるよう指導され、水分の摂り過ぎは強い口渇やむくみ、高血圧を招くため注意が必要です。またカリウムやリンも間隔が空く分上昇しやすく、カリウム値が高い場合は野菜や果物の摂取量制限、リン値管理のために低リン食やリン吸着薬の内服などが行われます。総じてPDは食事の自由度がやや高く、HDは制限が多い傾向があります。

合併症リスクの違い

腹膜透析の合併症として注意すべきなのは腹膜炎(腹腔内の感染症)とカテーテルの出口部・トンネル部感染です )。手技を適切に行い清潔を保てば防げますが、万一腹膜炎になると発熱や腹痛で入院治療が必要となります。また、長期PD継続患者さんではまれに腹膜が硬化して腸管を覆ってしまう被嚢性腹膜硬化症(EPS)という重篤な合併症が起こることがあります )。一方、血液透析の合併症は心血管系への負担増大(透析中の低血圧や不整脈、長年の透析による心筋肥大など)やシャントトラブル(血管の狭窄・血栓による閉塞、感染など)、透析中の筋けいれんや頭痛、透析後の疲労感などが挙げられます。透析療法自体とは別に、腎不全患者さんは腎性貧血や骨ミネラル代謝異常(腎性骨症)を共通の問題として抱えるため、これらはPD・HDいずれでも薬物療法が並行して行われます。

以上のように、腹膜透析と血液透析にはそれぞれメリット・デメリットがあり、一長一短です。どちらが優れているというより、患者さんの置かれた状況や価値観によって適した療法は異なると言えます。例えば「毎日の自己管理が負担に感じないか」「通院が難しい環境か」「心臓への負担をできるだけ減らしたいか」「食事制限をどこまで守れるか」など、さまざまな視点で両者を比較し、自分に合った方法を選択することが重要です。必要であれば途中で他方の療法に切り替えたり、両方を組み合わせることも可能です )。主治医と相談しながら、自身の生活にベストな透析スタイルを見つけましょう(※腎移植という選択肢も含めて検討されます)。

腹膜透析の流れ

腹膜透析を開始するにあたっては、まずカテーテル留置手術によって腹壁から腹腔内にチューブを挿入します 手術後はそのカテーテルを用いて実際に透析液の出し入れを行う訓練を積み、問題なく自己管理できるようになってから在宅での腹膜透析が始まります 以下では、腹膜透析の基本的な日々の流れ(透析液の交換手順と1日のスケジュール)について解説します。

バッグ交換の仕組みと手順

腹膜透析では、透析液バッグの交換を通じて体内の老廃物除去を行います。1回の交換は大きく分けて「排液」「注液」の二段階で構成されます。

準備

まず手洗い・消毒を十分に行い、清潔な環境で透析液バッグを用意します。必要に応じて透析液バッグを専用のウォーマーで体温程度に温め、カテーテルの先端と新しいバッグをチューブで接続します。空気が入らないよう接続部位の操作は無菌手技で行います。

排液(ドレナージ)

腹腔内に一定時間留置され老廃物を含んだ古い透析液を体外に排出します。チューブのクランプ(開閉弁)を開放すると重力によって腹腔内の透析液が排液バッグへ流出していきます。患者さんは座った姿勢か立った姿勢で行うことが多く、排液にかかる時間はだいたい5~10分程度です(腹腔内に残っている透析液量や腹膜機能によって異なります。排液が完了すると腹腔内は空の状態になります。

注液(フィリング)

新しい新鮮な透析液を腹腔内に注入します。排液に続けてチューブの切替弁を操作し、高い位置に吊るした新しい透析液バッグから腹腔内へ透析液が流れ込むようにします。重力を利用して約5~10分かけ必要量(通常1回あたり1.5~2リットル程度)の透析液を注入します。規定量が腹腔内に入ったらクランプを閉じ、チューブを外して交換完了です。

処理

使用済みの排液バッグは老廃物を含んだ廃液なので、蓋をして可燃ごみ等の規定された方法で廃棄します。新しい透析液が腹腔内に入った状態で次の交換時間まで過ごします。

以上の排液~注液までの一連の操作に要する時間は、おおむね20~30分程度です 慣れれば手順自体は簡便ですが、感染予防のため無菌操作を厳守することが何より重要です。腹膜透析を行う方は、医療スタッフから退院前にバッグ交換の手順や緊急時の対応について十分な指導を受け、できればご家族とともに練習しておくことが推奨されます 在宅療養に不安がある場合や高齢の一人暮らしの方などは、訪問看護師による交換サポートを利用できる場合もあります 実際、介護保険や医療保険を利用して週数回の訪問看護師サポート体制を組むことで、自宅で安全に腹膜透析を続けているケースもあります。

 

 

腹膜透析に関するよくある質問(FAQ)

腹膜透析はどのくらいの期間続けられる?

回答: 個人差はありますが、一般に腹膜透析は5~10年程度は続けられるとされています )。しかし長期間にわたり腹膜透析を続けていると、少しずつ腹膜が透析膜としての機能を失っていき、十分な透析効果を得にくくなることがあります )。特に腹膜炎を何度も起こした場合などは腹膜の劣化が進み、数年で血液透析へ移行せざるを得なくなるケースもあります )。一方で、副作用や合併症をうまく防ぎながら10年以上にわたって腹膜透析を継続できている方もいます。長期継続の鍵は腹膜炎などの合併症予防と、定期的な腹膜機能検査による透析処方の調整です。残存腎機能が低下して腹膜透析だけでは除去しきれない老廃物が増えてきた場合には、前述した腹膜透析と血液透析の併用療法を取り入れることで腹膜透析期間を延長できることがあります )。しかし無理に腹膜透析を長く続けすぎると、稀ながら被嚢性腹膜硬化症(EPS)など重篤な合併症につながる恐れもあるため )、適切な時期に血液透析や腎移植へ切り替えることも視野に入れておく必要があります。いずれにせよ、腹膜透析の継続期間は患者さんごとの状態によって異なりますので、定期検査の結果や体調を踏まえて主治医と相談しつつ方針を決めていきます。

腹膜透析と生活の両立は可能?

回答: はい、腹膜透析は工夫次第で仕事や学校、日常生活と十分に両立可能です。実際に、多くの腹膜透析患者さんがフルタイムで働いたり学校に通いながら治療を続けています )。ポイントは自分の生活パターンに合わせてCAPDかAPDか適切な方法を選択し、透析スケジュールを調整することです。例えば日中忙しい方は夜間にまとめて透析を行うAPDを選べば、昼間は透析操作に縛られず活動できます )。逆に在宅中心の生活であればCAPDで日中に分割して交換しても支障は少ないでしょう。旅行や出張も、事前に透析液の配送手配を行ったり必要物品を持参すれば可能です )。国内旅行であれば透析液メーカーが宿泊先に透析液や機器を届けてくれるサービスもあります )。腹膜透析は毎日の治療ですが、その分日々の生活に溶け込ませやすい利点があります。慣れてくれば交換も短時間で済みますし、体調が安定していれば趣味や社会活動にも積極的に参加できるでしょう )。実際、腹膜透析をしながら旅行や趣味を楽しんでいる患者さんの体験談も数多く報告されています。重要なのは無理をせず体調管理に留意することです。体調不良時には交換時間を調整したり安静に努める、定期通院で医師に相談するなど自己管理をしっかり行えば、腹膜透析と充実した生活は両立可能です。

腹膜透析中の食事制限は?

回答: 腹膜透析では食事・水分の制限が血液透析に比べて緩やかな場合が多いです。毎日透析が行われて老廃物や余分な水分が常に除去されるため、カリウムやリン、水分の体内蓄積が起こりにくく、極端な制限を設けずに済むケースもあります。実際、腹膜透析を行っている患者さんの中には「水分やカリウムの摂取制限がいくぶん緩いので食事の負担感はほとんどなかった」という声もあります )。特に尿量が残っている間は水分制限はほぼ不要で、カリウムについても通常範囲の食事であれば問題になりにくいでしょう。ただし「まったく制限が不要」というわけではありません。腹膜透析からいずれ血液透析へ移行する可能性も見据えて、塩分は控えめ(目安6g/日程度)にして高血圧やむくみを防ぐ、水分も喉の渇きにまかせて無制限に飲まない(過剰な体重増加を避ける)といった節度は大切です )。実際に腹膜透析患者さんでも「将来に備えて塩分や水分に気を付け、大好きな果物も一度に大量に食べ過ぎない習慣をつけていた」という報告があります )。また腹膜透析では透析液に含まれるブドウ糖が体内に吸収される影響でタンパク質が失われやすく、筋肉量の低下や栄養不足が起こりがちです。そのため高タンパク質の食事(目安として体重1kgあたり1.2~1.5gのタンパク質摂取)を心がけ、十分なエネルギー(カロリー)も摂取する必要があります。特に透析液からの糖分吸収で太りやすい一方、タンパク質は失われやすいという特徴があるため、「高タンパク・適正エネルギー・減塩」がPD患者さんの食事管理のポイントになります。糖尿病をお持ちの方は血糖コントロールが悪化しないよう主治医・栄養士と相談のうえ食事内容を調整しましょう。総じて、腹膜透析中の食事は「血液透析ほど厳しい制限はないが、適切な栄養管理が必要」と理解しておくと良いでしょう。

まとめ:腹膜透析を選ぶ際のポイント

腹膜透析は、自宅で行える透析療法として患者さんの生活の質(QOL)向上に寄与しうる選択肢です。体への負担が少なく残存腎機能を保ちやすい一方で、毎日の自己管理や感染症リスク、治療継続期間の限界など留意すべき点もあります。本記事で解説したように、腹膜透析には血液透析とは異なるメリット・デメリットが存在します。どちらの透析法にも一長一短があるため、何を優先したいか(生活リズムの維持、通院負担の軽減、体調の安定、自己管理の可否など)を整理し、自分に合った方法を検討することが大切です。

腹膜透析を選ぶ際のポイントとしては、まず自身と家族の生活パターンやサポート体制を考慮しましょう。日中に時間が取れるか、夜間の機械使用に抵抗はないか、清潔を保てる環境が整えられるか、ご家族の協力が得られるか――こうした要因が腹膜透析の向き不向きを左右します。また、残存腎機能や心臓の状態など医学的な要因も判断材料です。心機能が低下している場合は腹膜透析が望ましいことが多いですし )、逆に腹膜に問題がある場合は血液透析を選ばざるを得ません。さらに最近では、透析療法の開始に腹膜透析を選択し、そのメリットを十分活かした上で適切な時期に血液透析へ移行する方が予後(長期的な健康状態)が良好であるとの報告も海外からなされています )。この“PDファースト”の考え方も踏まえ、担当医とよく相談してみると良いでしょう。

いずれにしても、透析療法は長期にわたる人生の一部となります。腹膜透析を選ぶにせよ血液透析を選ぶにせよ、ご自身が納得し主体的に取り組める治療法であることが重要です。腹膜透析は自己管理が中心となる療法ですが、その分自分の生活に合わせやすく、うまく活用すれば充実した日常生活と両立することができます。この記事が腹膜透析について理解を深め、治療法選択の一助となれば幸いです。適切な情報を得た上で、医療チームとともにベストな腎代替療法を選択してください。 ) )

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