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カリウムと腎臓病について

私たちが普段あまり意識しない「カリウム」。実は、体の中でとても大切な役割を担っている栄養素です。

けれど、腎臓に不調を抱える方にとっては、このカリウムが“味方”にも“敵”にもなり得る存在なのです。

この記事では、カリウムの基礎知識から、慢性腎臓病(CKD)における注意点、そして日常の食事で実践できる対策まで、わかりやすくご紹介します。

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カリウムとは? ~体内での役割~

カリウムは、細胞の中に多く存在し、ナトリウムとともに体の水分や電解質のバランスを保つ重要なミネラルです。具体的には、以下のような働きを担っています。

  • 血圧の調整:ナトリウムを排出しやすくし、高血圧を予防
  • 筋肉や心臓の機能維持:神経や筋肉の収縮に必要不可欠
  • 体内の酸・塩基バランスの維持

こうした働きから、健康な人にとっては、カリウムは「積極的に摂るべき栄養素」とされています。

カリウムの基本的な摂取基準

日本人の食事摂取基準(2015年版)では、カリウムの摂取目標量は以下のように示されています。

性別目安量目標量
男性2,500 mg/日3,000 mg/日以上
女性2,000 mg/日2,600 mg/日以上

これらは、成人の平均摂取量と世界保健機関(WHO)が推奨する高血圧予防の基準をもとに設定されています。つまり、健康な人にとってはしっかりと摂るべき栄養素です。

慢性腎臓病(CKD)とカリウム摂取の関係

腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分・ミネラルをろ過して、尿として排出する大切な臓器です。その機能が低下すると、カリウムの排出も難しくなり、体内に蓄積してしまう恐れがあります。

その結果、**高カリウム血症(血中カリウム値の異常上昇)**となり、次のような症状やリスクが現れる可能性があります。

  • 筋肉のけいれんや脱力感
  • 不整脈や心停止
  • 突然の心機能低下(重症の場合)

したがって、CKDの進行度に応じて、カリウムの摂取をコントロールすることが非常に重要となります。

腎機能低下に伴うカリウム制限の目安

腎機能の低下に応じて、以下のようなカリウム摂取制限が推奨されます。

CKDステージeGFR (mL/分/1.73 m²)カリウム摂取目標量
G1~G3a≧ 45制限なし
G3b30-442,000 mg/日以下
G4~G5< 301,500 mg/日以下
G5D (透析患者)-2,000 mg/日以下

eGFR 40未満になると、カリウムが急速に溜まりやすくなるとされており、このステージ以降は特に慎重な食事管理が求められます。

高カリウム血症の原因は「食事」だけじゃない

カリウム値が高くなる原因は食事だけではありません。以下のような薬剤や疾患の影響にも注意が必要です。

リスク要因影響
腎機能低下主要因(特にeGFR 40 mL/分/1.73 m²以下)
RA系阻害薬の使用高カリウム血症のリスク上昇
RA系阻害薬の2剤併用さらにリスクが上昇
心不全の合併リスク要因となる
糖尿病の合併リスク要因となる

医師の指導のもとで、薬の影響も含めた総合的な判断が求められます。

カリウム制限の個別化ポイント

腎機能が低下したからといって、すべての人が同じようにカリウム制限をすべきとは限りません。

むしろ過度の制限は、逆に健康を損なうこともあります。

考慮すべき点対応
血清カリウム値定期的なモニタリングが必要
服用薬剤副作用の確認と調整
合併症適切な評価と管理
低カリウム血症のリスク過度の制限は死亡リスクと関連

自分にとって「適切な制限量」は、かかりつけ医や管理栄養士と相談しながら見極めましょう。

実践的な食事指導のポイント

カリウムの摂取を抑えるには、「何を食べるか」だけでなく「どう調理するか」も重要なポイントです。

ゆでこぼし

じゃがいもやほうれん草など、カリウムを多く含む野菜は、一度ゆでてから水を捨てることでカリウムを減らすことができます。

過度な野菜制限は不要

たんぱく質を制限している場合、自然とカリウムも減るため、野菜や果物を完全にカットする必要はありません。

透析中の方は

たんぱく質の摂取を増やす必要があるため、カリウム制限はやや緩やかになる場合もあります。

指導ポイント内容
たんぱく質制限との関係たんぱく質制限によりカリウム摂取も制限されるため、野菜や果物の過度な制限は不要
調理法必要に応じて野菜や根菜類のゆでこぼしなどを指導(一律ではなく個別に)
摂取量の調整カリウムは無味無臭のため、味覚による調整が困難であることに注意
透析導入時たんぱく質摂取量増加のためカリウム制限を緩和する場合あり(2,000 mg/日以下)

カリウムを多く含む食品の例

カリウムが多く含まれる食品を知っておくと、日常の食事選びに役立ちます。

食品分類主な食品例カリウム含有量の特徴
野菜類ほうれん草、トマト、じゃがいも比較的高い
果物類バナナ、オレンジ、キウイ比較的高い
豆類大豆製品、小豆非常に高い
乳製品牛乳、ヨーグルト中程度
肉・魚類鶏肉、魚、赤身肉中程度~高い

ただし、食品の加工方法や調理法によってカリウム量は変わるため、細かい調整は専門家と相談しましょう。

まとめ

カリウム制限と聞くと、「食べられない」「制限ばかり」と感じてしまうかもしれません。でも、カリウムは体にとって必要な栄養素。大切なのは「制限すること」ではなく、「自分に合ったバランスを見つけること」です。

腎臓病と向き合ううえで、正しい情報と丁寧な食事管理は、生活の質を守る大きな力になります。ぜひ医師や栄養士と相談しながら、自分にとって無理のない、でもしっかりと効果のある“食べ方”を見つけていきましょう。

引用:日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版

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